教育

金八先生の歴史的名台詞「人は人によって支えられ、人の間で人間として磨かれていく」
この台詞が、「人」という漢字は人と人の支え合う姿から生まれたという考えを日本中に広めた。
もはや日本人の常識となっている。

しかし漢字文化を研究する京都大学大学院、阿辻哲次教授によるとこの解釈は文字学的には間違いといわざるを得ないという。

「人」という字はひとりぼっちなのか?
5月20日放送のみんなでニホンGO!がその真相に迫った。

およそ3200年前に作られた甲骨文字によれば、人という漢字は人が一人で立っているところを横から見た姿を描いているという。
人の左側の線は人の腕、右側が体を表している。
古い時代から人は一人で立っていたのである。

ではなぜこの二人が支え合う「人、二人説」が生まれたのだろうか?

金八先生の脚本家、小山内美江子氏によると、「15歳の子がわかりやすく聞いてくれないと困る」からということだったが、決してその考え方はオリジナルという訳ではないようだ。
小山内氏によると、女学校時代の校長先生が全校修身(全校集会のようなもの)でよく語っていた言葉だそうである。

戦前・戦中の教育に詳しい明治大学の齋藤孝教授によると、その当時学校教育に一番影響力があったのは旧制一高(東大の前身)の校長、東京女子大学の校長をつとめた新渡戸稲造だったという。

新渡戸の著書「世渡りの道」を開くと、確かに「人という字はニ本の棒より成り、短い方が長い方を支えている。両者は支えつ、支えられつして、人という字を構成している」というくだりがあった。
新渡戸稲造こそが「人、二人説」の提唱者だったのである。

新渡戸は漢字をわかりやすく説明するために漢字を分解して説明する方法を多用していたらしい。
例えば「武」という漢字は「戈(ほこ)」と「止」という字で成り立っているため、その真髄は武器を止めることにあり、無用な争いを避けることにあると説明した。
しかし、これも実際には「戈」と「歩」で進軍する様子を表しているため、文字学的には誤りだそうである。

新渡戸は決して漢字の成り立ちを知らなかったわけではなく、あえて漢字の語源よりも生きる上で一番大切なことを生徒や人々に伝えようとしたのだという。

新渡戸稲造の想いは時を越え、金八先生を通して現代に生きる日本人に脈々と受け継がれているのである。

美談ではあるが、アナウンサーの梅津正樹氏からは「伝えたいことが良いことであれば事実を変えてもいいのか?放送では許されない。教育現場で許されるのか?」という疑問も付されていた。
俗説であるという但し書きのもとに伝えていく必要があるのかもしれない。

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